下水道の財源(建設改良費と管理運営費)         長谷川明巧
はじめに   公共下水道の会計  負担区分  費用構造   建設改良費   管理運営費
3. 下水道事業に係る負担区分
 公営企業の場合、サービスを継続的に住民に提供することを目的としており、それには、当然一定の経費が必要になります。このような経費は、事業によってサービスを受ける者が、その対価として受益の程度に応じて負担することになります。公営企業の場合、受益の負担する額のみを持って、その経費を賄い、事業を継続していくという「独立採算制」が基本原則とされています。

 しかしながら、公営企業は本来採算をとることが困難な事業でも、公共的な必要から採算性を無視しても実施しなければならない場合あり、このような事業に要する経費は、独立採算の枠から外して、公営企業の設置者たる地方公共団体が一般会計等(公費)において負担すべきとされています。
 下水道事業では、サービスの提供にあたって、公共下水道の使用者(受益者)から「使用料」を徴収しますが、受益者負担になじまない経費については公費負担としています。
 一般に言われる「下水」は、法律(下水道法)では「汚水」または「雨水」のことです。
 人為的な「汚水」は、その排出者=受益者を特定することは可能ですが、自然由来の「雨水」の受益者は関係地域全体に及びます。

 したがって、下水道は、人為的な「汚水」の排水処理と、自然由来の「雨水」の排水の役割を担い、性格の違う2種類の「水」を扱うことから、その費用負担について「雨水公費・汚水私費」の原則が定められています。

 汚水私費の原則がありますが、汚水の処理によって、公衆衛生の向上だけでなく河川や海(公共用水域)の水環境保全に寄与し、その受益の範囲は広域に及ぶことから、汚水にかかる経費にも公費が充当されています。
 具体な経費区分「雨水公費・汚水私費」については、後述します。

 同じ「水」を扱う事業と比較してみましょう。ここでは、河川事業、水道事業及びし尿処理事業を取り上げてみます。
 ・河川事業・・・原則公費(河川占用料など私費が維持費の一部に賄われる)
  河川は、「雨」由来の自然公物であって、国土の保全に寄与する国民の資産です。
 ・水道事業・・・原則私費(整備費の一部に公費負担)
  水道は公衆衛生の向上及び生活環境の改善を目的とする施設であるが、利用者がその受益者として特定され ることから、水道事業は地方公営企業法の適用事業として独立採算で経営されており、必要な費用は原則「水  道料金」で賄っています。耐震化工事など国の施策に伴う事業には国から補助金が交付されます。
 ・し尿処理事業・・・原則公費(収集運搬に手数料を徴収している都市もある)
  し尿は、人が生活する上で必然的に排出する廃棄物で、「家庭ごみ」と同じ一般廃棄物に位置付けられていま す。一般廃棄物の処理事業は原則公費で賄われますが、収集運搬に手数料を徴収している都市もあります。

同じような「水」を扱う事業でありながら、その性質(自然的、人工的)や事業の目的によって、負担原則は異なっています。