下水道の財源(建設費と使用料) 試行版2006.7.05
                          Ta.Nin

                                          
 | はじめに |財源の構成 | 他の事業では | 建設費の財源 | 維持管理費財源 |

3.他の事業の財源はどうでしょうか
下水道の財源構成は以上ですが、同じく水を取り扱う河川や上水道の事業はどうなっているのでしょうか。下水道と対比すると表−2のとおりとなります。
表−2 他の事業との財源比較
事業種別 建設費 管理費
河川事業 原則公費 (国や県・市町村のお金) 原則公費 (国や県・市町村のお金)
上水道事業 原則私費 (基本的には水道使用料で負担する) 原則私費 (同左)
下水道事業 公費中心 (私費である受益者負 担金が入る例もある) 私費中心(使用料で賄うが、一部公費を投入している)
河川は、もともと自然現象として降る雨水(あまみず)の流れる道として形成されたものです。したがって、氾濫・洪水を防止する河川改修などの建設費や、雨水排水機場(ポンプ場)などを維持する管理費は、原則公費で賄われています。
上水道ですが、上水道や下水道は、人間が生活していく上で、衛生・安全・快適性などを追及する観点から人為的に作り出したものです。また普及により利益・恩恵を受ける人々(受益の範囲)が明確に特定されます。

受益の範囲が明らかな施設は、受益を受けない人々との負担の公平・平等性等の観点から、税など公費の投入を極力抑えることが望ましいと考えられます。    上水道は、このような観点から、私費である水道料金を中心として事業全体を運営していくことを原則としています。

下水道事業では、後述しますが、建設費の大半は公費、管理費の大半は私費
で賄われており、表−2のとおり建設・管理費とも原則公費の河川事業、原則私費の上水道事業との中間的な位置にある事業であるといえます。
この理由は、以下のとおりと考えられます。

下水は、上水など水を利用する人間活動の結果もたらされるものです。下水道施設がなく下水を放置した場合、汚水停滞による衛生環境の悪化や水質汚濁による川や海(公共用水域)の汚染を引き起こし、国や地域全体の社会生活全般に重大な悪影響を及ぼします。

下水道は、個々の家庭のトイレの水洗化に代表される、利用する人々に快適性・利便性を齎す役割のみならず、公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全といった社会的・公共的役割を有しています。この観点から、建設費を中心として、一定の公費投入により遅れている下水道整備の促進を図ろうとするのが現在の事業の考え方であると理解されます。