水環境ひろば② 市民と水環境
 7月29日(水)15:10~16:40
コーディネーター  みずとみどり研究会 事務局長 佐山 公一 氏
講 演  「市民と水環境の関わり─身近な水を見る・知る・調べる
  東京農工大学 名誉教授 小倉 紀雄 氏
 
事例発表 「荒川で ちょっといいこと ゴミ拾い」
   NPO法人 荒川クリーンエイド・フォーラム 事務局 藤森 夏幸 氏 
「川の再生交流会活動報告
   NPO法人 東京湾と荒川・利根川・多摩川を結ぶ水フォーラム代表理事 大石 昌男 氏
「NPO水澄の活動と市民 そして、水環境」
   NPO法人 下水道と水環境を考える会・水澄 前田 邦典 氏 
「市民と水環境」
   みずとみどり研究会 事務局長 佐山 公一 氏 
 総合司会        NPO法人 21世紀水倶楽部 理事 山木 幸夫 氏
開催報告
講演会は21世紀水倶楽部理事の山木幸夫の司会で、東京農工大名誉教授・小倉紀雄氏とコーディネーターの佐山氏の紹介から始まった。
 小倉紀雄氏の基調講演では、長年にわたり市民とともに水質測定を通して河川環境を見守ってこられた立場から水環境の保全に関する貴重な話をされた。
 市民による水質調査について、水質汚濁が進行した多摩川の浅川地区で1984年にはじまり、その後1989年からの身近な川の一斉調査、2004年からは全国規模の「身近な水環境全国一斉調査」へと成長していく過程が説明された。中でも全国一斉調査は10年間で延べ5万地点以上、延べ7万人以上が参加する一大イベントとなっている。
 この10年間の水環境の主な変化は、下水道等の整備により水質は改善傾向であるが、水量は減少傾向、水温は上昇傾向となっている。今後の水環境の保全管理のためには、水辺環境を総合的に考えていくこと、100年の眼で調査を継続すること、人を育てることが大事であるとの指摘があった。
 続いて各団体から事例発表があり、まず荒川クリーンエイド・フォーラムの藤森氏から、1994年から行っている荒川のゴミ拾いの話があった。この活動の特徴は、拾いながら種類別のゴミのデータをとることと、さまざまなセクターが協働し、ゴミの現状を社会に発信している点にある。生活の中から出るペットボトル等の容器包装関係が7割以上を占めており、工夫次第で減らせるとの説明があった。
 次に東京湾と荒川・利根川・多摩川を結ぶ水フォーラムの大石氏から、埼玉県の「水辺再生100プラン」を推進するために、水フォーラムが中心となり7年間で592団体を束ねる埼玉県河川環境団体連絡会を設立した経緯説明があった。合併浄化槽の排水マナーの向上と全国にある630万基の単独浄化槽の解消を大きな課題と上げていた。
 次に下水道と水環境を考える会・水澄の前田氏から、会の設立趣旨や活動内容の紹介があった。この会は大阪市のOB職員が主体となり平成20年に設立しており、会員の実務経験を活かしながら6つの部会で下水道市民講座や各種シンポジウムなど活発な活動がされている。
 次にみずとみどり研究会の佐山氏から、会の設立趣旨と活動内容の紹介があり、引き続き総合討論に移行した。会場から何故に水環境の指標としてCODなのか、五感に訴える調査はできないかなどの質疑応答があった。
 最後に小倉紀雄氏から、市民が主体となり行政と企業が応援し水環境を考えていくことが大事になるとの感想が述べられ盛会裏に終了した。
 
   
 小倉先生の講演
   
 事例発表