下水道補助金移譲案に一言
 

○地球環境は誰が守る

今夏の大阪、東京などの酷暑は一体何だったのか?地球温暖化、異常気象、都市構造の変化が原因だとする報道や意見があるが、それらはすべて人間社会のなせる業であり、大気の人為的変化に起因することは疑う余地がない。

生命誕生の源である水は大丈夫だろうか?日本の公共用水域は豊富な水源を持ち、下水道の普及で水質も著しく改善されたと言われている。しかし、あまりに酷過ぎた都市の河川や工場地帯の沿岸海域、湖沼などの汚濁水準から脱却したに過ぎないのではないか。まずい水、泳げない川など半世紀前に比べると水環境の回復にはまだまだ程遠いと言える。

 大洪水、大規模山火事、砂漠化など地球規模での異常現象は人類共通の責任として、国家的、国際的な環境保全対策がより強く求められてきている。

○地方6団体の改革案

 改革案では「都道府県のみが事業主体となっている投資的な事業に係るものを移譲対象補助金とする」という公共事業の見直し方針に自動的に含まれてしまったように流域下水道事業補助約1千億円が表示されている。議論の形跡は見当たらない。

○水に境界線はない

 河川水や地下水そして上下水道等が循環して人の生命や快適性を維持している。そのため、水の活用や浄化を自治体単位では取り扱うことができない場合が多い。また、生産活動や流通を含めた水分の移動で見ると河川流域を超える更に大きな圏域に広がり、それが海域や気象にも波及することを考えると、水に境界線を引くことはできない。水循環に欠かせない流域下水道もまた地方分権のみでは機能できない性質を持っている。

○流域下水道事業は国家レベルで

 流域下水道は都道府県が実施する事業であるが、事業計画や他の流域下水道との優先度について、国が事業認可や予算配分権限により個々の都道府県を超える判断や国家的施策を円滑に行使してきた。その結果、利害が反する上下流都府県の仲裁効果、優先的新技術導入による事業効率改善、水や汚泥資源のリサイクル促進など多大な成果を残すことができた。

 今後も雨水対策や増設更新に伴う水循環機能等の改善に大きな投資を必要としているが、全国一律投資では効果が薄い。国が事業計画関与と補助金交付の二つのツール を持ってこそ日本の水の適正なコントロールが可能である。水環境を本来の姿にまで回復するため、国の関与は今まで以上に必要であり広域で重要な水域については国直轄の下水道を創設すべきである。

深堀政喜