鳥獣害に強い管渠内光ファイバーケーブル
 

平成16年5月29日放送の「ブロードキャスター」というニュース番組で、架空線として敷設済みの光ファイバーが、野生動物達によって、破断されてしまっていると言う特集が行われた。
 対象となった動物は、カラス、台湾リス(伊豆大島)、セミ、である。

1.カラス
 都会を中心に繁殖しているカラスは、巣作りの為に針金ハンガーを利用している事は、割とよく知られている事実である。
 光ファイバーは鋭角に屈曲させる事が出来ないので、支承部でアールをつけている。
 そのアールの形状が針金ハンガーの両端部に似ているので、巣作りの時期に、架空線にとまって、鋭く強力なくちばしで光ファイバー線を引きちぎってしまう。

2.台湾リス
 伊豆大島で大量発生してしまった台湾リスが、光ファイバー線を前歯で削り、切ってしまう。
 台湾リスは木上に住み好奇心の強い動物である。
 新しく敷設されたファイバー線を見ると寄って来てしまう。そして、げっ歯類の習性である「硬い物をかじる事によって、伸び続ける前歯を削り、歯並びを整える」と言う癖がある。
 放送された画面では、まるで、胡桃でもかじっているかのように、ファイバー線をボリボリかじり、切断してしまった。まるで光ファイバーケーブルをえさのように食べているかのように、ものすごい勢いでかじっていってしまった。

3.セミ(セミの種類については、分からなかった。)
 ファイバー線の断面は、長方形の上下の長辺の真中に三角形の切れ込みが入った形状をしている。(8の字を四角にして、横にしたような形状) その切れ込みに、セミのメスが、産卵管を挿入して、ファイバー線に、卵を産み付けて破断させてしまうのだ。(これには驚いた。)

 上記課題に、NTT東日本では「サンダーバード」という特別チームを編成し、対応に当たっている。ここで提案されたのが、ステンレスメッシュ入りのガムテープを敷設済みの光ファイバー線に巻きつけていく方法である。光ファイバー線は現在約90万Km敷設されているそうで、手作業でメッシュ入りガムテープを巻きつけていくと言う作業は、気の遠くなるものである。
 ここで、下水道管渠内光ファイバー敷設の登場である。
 上記の3動物は、下水管渠内に入らない。ただし、下水管渠内には、ねずみが居て、これが光ファイバー線をかじってしまう恐れがある。ただこの場合、下水管はほとんど円形に近い形をしており、管の天上付近は、丸くなっている。管自体は、汚水流下の摩擦係数を減らすために、出来るだけつるつるな面で仕上げられており、管底部を行動するねずみは、天井に敷設してある光ファイバーケーブルに届かないのではないか?また、管渠内を調査する、モニターロボットの開発も進んできたので、そのモニターロボットに、光ファイバー線の破断の有無を同時に調査させたり、敷設の更新をさせたりすることが出来るのではないだろうか?特に、ねずみについては、動物の種類が特定されているので、殺鼠剤などを用いて駆除する事も出来る。下水管渠内光ファイバーケーブルには、前述のような、対野生動物被害撲滅の可能性があるではないか。今後下水道を新設していく市町村は小規模かつ野生動物も多い地域である事が予測されるので、野生動物による、光ファイバーケーブルの破断と言う問題に対して、下水管渠内ファイバーケーブル敷設は、有効な手段と思われる。