原油が枯渇するのか?反省資源的発言
 


原油が本当に枯渇するのか?と言う事は,誰が明言できるのだろうか? 

ここで一般に原油≒石油と言う表現をする人もいるが,石油≒家庭用灯油とも受け取られるので,正確を期す為に原油と言う表現で統一したい。

さて,我々の経済社会における物価はその物の供給量と消費量のバランスで決められる.供給量が多く,消費量が少なければ,物価は安くなるし,逆であれば,物価は高くなる。

このところの原油価格高は,消費量に見合った供給量が無かった事に起因する.ではなぜ供給量が少なかったのか?

日本が輸入に依存している原油のほとんどは主に中東のアラブ諸国で産出する。

12月19日(JPT)を持って,自衛隊のイラク復興支援活動が全て完了した.このイラクの復興支援は,当初独裁政権であったイラクが,1990年に突如として隣国のクウェートに侵攻した事に始まる。このイラクに対して国際的制裁を行うことになり,日本の自衛隊を含めた多国籍軍が周辺諸国から,イラクを攻撃,独裁政権を倒し,一応は「湾岸戦争」と呼ばれるものは終った。

しかし,当初のイラク側クウェート侵攻作戦及び,湾岸戦争によるイラクとクウェート両国各所の油田破壊により,原油生産量が全体として減少した.さらには両国周辺国が,戦争が自国に及ぶ事を警戒し,自国経済の主軸である原油生産量を調整,生産量≦消費量となった。

ちなみに,湾岸戦争前,日本の原油輸入量の約1/5はイラクからである。

この事と,「資源としての原油が枯渇するかもしれない」と言う潜在的な心理(脅威)から,原油の価格が急騰し,つい1ヶ月前(平成20年11月頃)は日本では,ガソリン価格の高騰による狂乱状態が生じ,人件費を捻出できず閉鎖するガソリンスタンドや,通勤に自家用車を使用していた人達が,公共交通機関を利用するようになったりした。また,より燃費のよい自動車が開発されたり,現在の自家用車から燃費の良い車に買い替えたりする人が出た。

そこで,本日(平成20年12月19日)の原油取引市場である。NY鉱物資源先物取引市場で原油1バレル(約160リットル)=37米ドルとなった.日本円とSI単位に換算すると,とロンドン市場為替の換算率で原油1リットル≒21円である。

産地によって,軽油・灯油・ナフサ・ガソリン・重油の原油に占める割合が変るので一概には言えないが,日本のガソリンにかかる税金が53円/リットルである事から類推して,21円/リットルの原油からは,60円/リットルのガソリン(税金・人件費抜きの原価)が出来るのではないか?(これは税金面からの逆算)

結局,一時150円/リットル以上まで高騰した日本のガソリン店頭小売価格は,今度は低落し125円/リットル以下になってしまうのではないだろうか? つまり,現在から1リットル当たり20〜30円位安くなってしまう?本当かな?
そうすると,ガソリンが高い為に公共交通機関を利用していた人が,再びマイカーを利用するようになってしまう。ここには,「資源としての原油が枯渇してしまうから,マイカーの使用を控えよう」と言う心理はあまり働かない。むしろ,「我が家の家計でもマイカー利用で充分まかなえるから,体力的に楽な通勤にしよう.」と言う事になる.結局元のもくあみである。

実際,原油の埋蔵量も,その消費量と供給量とのバランスにより,供給量≦消費量となれば,掘削に要する費用が高くなっても,元が取れると言う事になるから,今まで掘削出来なかった地域の原油まで資源開発して掘削・入手可能になり,実はまだ埋蔵されていましたと言う事になる。隠されている埋蔵原油と言うところか。

突き詰めて考えれば,地球上で人類は生物だけではなく,鉱物資源まで消費して生活している。先進国の人口が少子高齢化問題・人口減少状況を迎えていて,開発途上国がAIDS等の新しい病原問題・医療不足問題・食糧不足による飢餓と言った事を現実に抱えている事から,地球上の人口は,いい「あんばい」のところで停滞し,未来には,掘り返した資源を再利用する事が出来る様になり,原油をめぐっては映画「マッドマックス2」の様に,節約・文明崩壊及び強奪合戦が起き,さらに殺戮合戦になるのではないか? 

経済的?楽観的に考えると,原油の枯渇なんて,放っておいても何とかなるさとも思われてしまう。

そうすると,省資源⇒ゴミの再利用・リサイクルなんて現時点ではどうでも良くなってしまう?等,こういう事は技術者としては言ってはいけないのかな? どうでしょうか。

以上

水倶楽部会員:齋藤 均