12/14のIT部会に参加して
 


昨年末のIT部会に参加し,また,その場で意見を述べ,さらに議事録としてまとめられたものを読んで感じた事を述べます.

まず,当倶楽部が推進しようとしている,下水道内光ファイバー計画は人気が無い.

背景として,主要国道などに,通信線を入れるだけのスリーブが既に接地されており,メンテナンスが困難と思われる下水道管内に光ファイバーを引くこと自体に抵抗がある.しかし,下水道管内にロボットを使って光ファイバーを引く技術は既に出来ている.

下水道光ファイバー推進団体であった,岡山県新見市においても,既に光ファイバーを引くべき所は敷設してしまっており,新規に小口径管に敷設しようと言う意欲は無いらしい.

自分で感じたことだが,最初の下水道管内光ファイバー協会で紹介があったとき,縦20cm×横30cmぐらいの馬鹿でかいボックスを,下水道管渠内に添架すると言っていた.確かに,平常時は下水管の流下水量は満管にはならないが,降雨時などに,汚水の異常流入が発生した時には,マンホールの蓋が吹っ飛ぶ事もある. こんなに馬鹿でかい流下阻害物を管内に設置できるのか?

それとは別に,2011年を目標に,総務省がテレビの地上波を全てデジタル派に切り替える作業を進めている. 100%デジタル波放送になった場合,既存のアナログ派受信テレビ・ビデオは使え無い.基本的には,デジタルチューナーを接続すれば使えるのだが,家庭人の感覚として,「テレビのリモコンのスィッチをぽんと入れれば,好きな番組が見れる」と言う事が基本.リモコンを2つ使って,テレビのスィッチを入れて,外部入力に切り替え,その後,デジタルチューナーで番組を選ぶ. 多分,お年寄りにはほとんど不可能. 実際,我が両親もビデオの予約録画が出来ないのだから,絶対に無理!!で,仕方が無いから,新しいテレビを購入する.デジタル波用の. 

ところで,会員の皆様は賢明だから,「デジタル波」用の新しいテレビやビデオの機種を求めると思いますが,家電量販店ではどうなっているか?

液晶テレビや,プラズマテレビの安価な奴,大体全商品の1/4が,アナログ波専用です.

量販店の人は,「アナログ波用ですが,デジタル画素なのでキレイに写りますよ」と宣伝.確かにその通り.でも,2011年以降は使えなくなるとは説明していない.売れなくなるから.

総務省調べでは,デジタル波移行の認知度10%程度.厚労省・環境省調べでは,廃棄物の不法投棄:業者による物ではなく,一般個人による,ブラウン管テレビが急激に増加.取り締まれ無い.

以上のような事を背景に,デジタル波用の第2東京タワーを建てるのならば,各家庭につながっている,下水道管を利用して,下水道内光ファイバーで,公共放送:民間放送を配信する.

当然光ファイバーだから,PCについても高速I-Netが使用できるようにする.

各家庭には,光ファイバーから受信して,D/Aコンバータをつければ,光通信テレビ,光のI-Net,光通信電話が享受できる. そして,テレビやI-NetのCM料収入で,下水道の維持管理費をまかなう.

と言う事を提案しました.結果は議事録の通り,全く盛り上がらず,アイディアも不発に終わってしまいました.

光ファイバーは,遠赤外線通信なので,途中に管路の液面計(赤外線のドップラー効果で計れる)を接地しておけば,ある地区の管渠が満管に近くなれば,バイパスゲートを開けたり,下流のポンプ場の先行待機運転で,水位を下げる事が出来ます.

下水の管路網に,光ファイバーを引いておき,各箇所の管内水位の時間変動を把握し,適宜バイパス管路を設けるようにすれば,合流式下水道における雨水吐からの吐出抑制にもつながる事が考えられます.あふれそうな管渠の汚水を違う系統の汚水管にバイパスで流してしまう.

また,下水道管の不等沈下も,ファイバーの伸びを把握する事で状況把握できますし,ファイバー線は通常,接続ポイントで,2巻き(約5m位か)の余裕を持たせているので,地震時の液状化で,マンホールが丸ごと浮上したとしても,多分,その変位に追づい出来る可能性がありますし,追づいできるような施工をしておけば良いだけです.

また,以前あった,合流地域の雨天時ディスポーザーコントロールシステムも容易に構築できます.日本は,雨季(梅雨)と言っても,ずっと強雨が降り続くのではなく,合流式の流下能力の範囲内の小雨になって息をつくときがあります. その時に一気にディスポーザーを運転すれば良いので,家庭内にディスポーザーを設置して,運転停止になったとしても1〜2日ぐらいです. 実験が必要ですが,ディスポーザーの利便性を享受した人は,1日ぐらい待てば使えると言う事は,受け入れてもらえると思います. また,ディスポーザーの正確な設置数がわかるし,設置者に対しては,下水道料金の上乗せも可能です.「生ゴミ」を捨てなくてよいのですから.

最後に,IT部会に出席して,僕はちょっと失望しました.「下水道ITを取り巻く環境は,このように厳しいが,それを打破するアイディアをみんなで考えよう」という前向きな姿勢を期待します.

締めとして,M先生がおっしゃった.「これから作る下水道には,光ファイバーを入れようという法案を作ればいい」. その通りだと思います. 

               以上