ドラエもんと下水道管 2020.7                  亀田 泰武   
空き地に積み上げられた下水道管
  江戸東京たてもの園で平成17年に開催された、特別展「ドラエもんとはらっぱ」のパンフレットです。
 のび太のような子供が下水道管に座って本を読んでいる写真が撮られていますが、ドラえもんの漫画にはたびたび空き地に積み上げられた下水道管が登場します。作者の藤子・F・不二雄が住んでいたアパート、トキワ莊は、豊島区南長崎にありました。ドラえもんの連載が始まったのは1969年で、この頃東京都の下水道整備が都心部や浸水常襲地域であった下町から山の手に移っていて、アパート付近の空き地のところどころに下水道管が置かれていて、この光景が題材になったと思います。下水道の整備が進むと資材置き場もなくなってしまうので、執筆の際トキワ荘近くで下水道工事が行われた偶然の一致により漫画に登場することになりました。
 当時の下水道管工事は道路を長期間開けて、本管と取り付け管を同時に設置していて、住人は、溝の上に渡された木の板を渡って通行していたという記憶があります。空き地に積み上げられた下水道管も,今なら危険だということで立ち入り禁止でしょう。
 登場している管は腰掛けたり中に潜れる太さなので大雨も流せる,合流式下水道管であることを示しています。分流式の下水道管だったら大半が内径250mm程度で画にならなかったでしょう。合流式下水道であったことと、トキワ荘近くで下水道建設工事が行われたことの偶然により、漫画に載せてもらうことができました。