4.下水汚泥の有効利用          下水汚泥処理の解説−4
下水汚泥の有効利用は、省資源・省エネルギーとなるばかりでなく循環型社会形成や地球温暖化防止への貢献、逼迫する最終処分場の延命化にも資することになります。汚泥の有効利用はその形態により異なりますが、脱水汚泥や消化汚泥は、窒素やりん、有機質や無機質などを含み肥効が大きいため緑農地利用が広く行われてきました。一方、大都市では、緑農地利用には量的に限界があり、さらに減容化を図るため焼却、溶融などのプロセスを附加し汚泥を無機化し主として建設資材としての利用が進められてきました。また、嫌気性消化プロセスで発生するメタンガスは燃料として古くからエネルギー利用が行われ、その後ガス発電も行われるようになりました。昨今では、地球温暖化防止と絡めて、下水汚泥は高いカロリー価を有するため汚泥のエネルギーを高効率に利用する技術が実用化されつつあります。
以下に汚泥の有効利用に関する概要を示します。


(1)下水汚泥の発生量
下水道の普及率の向上や近年における高度処理の導入により発生汚泥量は年々増加してきましたがここ2年位は下図に示すように年間415百万m3程度の発生量で横這いとなっています。

年度別発生汚泥量の推移 
            (出典 下水道統計要覧 平成16年度版

(2)汚泥処理プロセスから発生する下水汚泥の有効利用
汚泥処理プロセスから発生する下水汚泥の有効利用方法を下表に示します。下水汚泥の有効利用方法は、緑農地利用と建設資材利用、さらにエネルギー利用に大別されます。
最近、脱水汚泥の有効利用方式として注目されている炭化方式について述べます。
・ 炭化
本方式は、脱水汚泥を乾燥し酸素の少ない状態で加熱し蒸し焼き(乾留)することにより、木炭や活性炭に似た性状を持つ炭化汚泥が得られます。炭化汚泥は、吸着性能や保水性能に優れ炭堆肥や土壌改良材、園芸用土壌等として、またカロリー価が高いため燃料としての利用も始められています。
 有効利用用途一覧を次表に示します。


下水汚泥の有効利用用途一覧
                (出典 日本の下水道 平成17年版)

(3)下水汚泥の処理及び処分状況
 下水汚泥の処理及び処分状況(平成16年度)と有効利用状況(平成16年度)を下表に示します。平成16年度実績では有効利用された下水汚泥の割合は67%となっています。また、有効利用のうちセメント化が43%を占めています。

      下水汚泥の処理及び処分状況          (DS-t/年)

(出典 日本の下水道 平成18年版)

(出典 下水道統計要覧 平成16年度版)

(4)下水汚泥有効利用の経年変化
下水汚泥有効利用量の経年変化を下図に示します。従来は汚泥有効利用として緑農地利用の割合が多かったのですが、平成7年度以降は建設資材利用が緑農地利用を上回り、その後両者の差の開きは大きくなっています。


下水汚泥有効利用量の経年変化
(出典 日本の下水道 平成18年版)