「下水道事業仕分け」を踏まえた下水道の役割、機能の正しい理解のために
       (第1報)
                   基礎知識の普及チーム

 2009年11月10日から27日にわたって、鳩山内閣が2010年度の予算要求の無駄を洗い出すために設置した行政刷新会議の「事業仕分け」が行われました。下水道事業予算の仕分けは、ワーキンググループの評価委員による実際の作業初日となる11日午前中に開かれました。その結果、周知のとおり「財源を地方に移し、自治体に(汚水処理手法の)判断を任せる環境を整えるべき」と判定されましたが、この過程で行われた議論の中には、「下水道と浄化槽は性能が同じ」「下水道は浄化槽に圧力をかけているのでは」「三省縦割りで、地元自治体の汚水処理方法選択の判断が歪められているのでは」等々、下水道が正しく理解されていない点が多々見られました。事業仕分けがこのような議論のもとに行われたことは極めて残念なことです。
 そこでNPO法人21世紀水倶楽部では、「下水道事業仕分け」を踏まえ、下水道の役割、機能の正しい理解のための情報発信を積極的に行うこととしました。今回はその第1報として、事業仕分けで誤った見方がなされた、下水道の役割、機能、事業のあり方を取り上げ解説します。
 

ポイントT 浄化槽と下水道は同じか?
事業仕分けでは、未普及地域における下水道と浄化槽の費用比較等を中心に議論が進められたが、さてさて、下水道と浄化槽は何が同じで、どこが違うのか
ポイントU 上流の下水処理水は下流の水道水源
安全・安心の水質確保を目的とした下水道整備には、今後とも国等による広域的な調整と支援が必要

ポイントV 老朽施設対策、資源の再生と活用、省エネ対策も推進していく必要

都市生活を支え、循環型社会形成の重要な要素


 下水道事業仕分けでは「浄化槽が安価で効率的、下水道は高くて非効率」という視点が評価委員の中にはあったようですが、これまで述べてきた下水道の役割、機能を考えれば、その視点はかなり視野の狭いものだと言えるのではないでしょうか。
私たちはこのような議論への反論を試みるのではなく、下水道、浄化槽それぞれを正しく理解することに努め、それぞれの長所を活かしてどのように共生していけるかを考えていかなければなりません。